JET〜1〜

獄門島(角川書店 平成2年)
「獄門島」表紙 now writing.
本陣殺人事件/黒猫亭事件(角川書店 平成5年)
「本陣殺人事件」表紙 now writing.
睡れる花嫁/車井戸はなぜ軋る(角川書店 平成7年)
「睡れる花嫁」表紙  「獄門島」「本陣」と続いて3作目がいきなりマイナーな「眠れる花嫁」。「倫敦魔魍街」に代表されるスプラッタ・コミックの驍将、JETらしい選択と言うべきだろうか。
 ストーリーも、冒頭で殉職する山内巡査の妹を登場させるなど、独自の脚色を加えて小気味良いテンポで進む。JETの金田一シリーズでは、もっともまとまっている佳作であろう。

 併録の「車井戸はなぜ軋る」は、発表前号の予告では読み切りとなっていたが、作者急病のため、6月号では単行本P.133までを掲載、続編は「完結編」として8月号に発表された。
 完成度は「睡れる花嫁」に及ばず、知名度が上だからという理由だけで、こちらを表題作としなかったのは、正解である。

 ところで、本書初版のオビにはたいへん珍妙なキャッチコピーが書かれていた。
 「元祖! 金田一耕助の挑戦。孫には負けられん」って、角川さん、もうちょっとポリシー持った方がいいんじゃない?
八つ墓村(角川書店 平成8年)
「八つ墓村」表紙  豊川悦司が金田一耕助を演じた東宝映画「八つ墓村」公開に合わせて連載された作品。
 連載開始の「ミステリーDX」1996年8月号には「前編」とうたっていたが、お気に入りの等々力警部を登場させるなど余計なことをしていたおかげで、90ページも使って第3の殺人(単行本P.92)までしか進まず、「本当に次号で完結するのか」と原作ファンをハラハラさせた。
 案の定、9月号の表紙には「解決編114P!!」とあるにもかかわらず、実際は正味79P(単行本P.172まで)しか掲載されておらず、残りは10月号に持ち越して「真相編」として掲載された。

 このような無茶な進行スケジュールの原因は、構成のバランスを読み違えたことにある。
 JETほどのマンガ家が、絵コンテも作らずに原稿を描いているとは思えないが、全体の枚数に対して、ストーリーをどのように割り付けるかという見切りがたいへん甘いと言わざるを得ない。
 ただでさえ「八つ墓村」は7人も8人も人が死ぬ上、加えて落武者惨殺、32人殺しと、現在と過去の事件が複雑にからみあっているのだ。慎重にバランスをはからないと、描いても描いても終わらない事態に陥るのは自明の理である。等々力警部なんか出している場合じゃないのよ、ホントに。
悪魔の手毬唄(角川書店 平成10年)
「悪魔の手毬唄」表紙  「車井戸はなぜ軋る」「八つ墓村」と続けての醜態を反省してか、本作から「集中連載」と銘打って掲載されることに。
 全体の構成も、東宝映画と横溝正史シリーズを意識して、両者の名場面をさりげなく採り入れている。

 ところで、この巻から奥付のマルCマークが、「SEISHI YOKOMIZO」ではなくご遺族の連名(孝子、亮一、宜子、瑠美)になっていたこと、気がついていました?

※ 表紙画像は、紹介のための引用です。この件について、関係各位からのお問い合わせは、こちらをクリックして下さい。


いけうち誠一 岩川ひろみ 江原伸 掛布しげを
影丸譲也 児嶋都 ささやななえ JET-1
JET-2 たまいまきこ つのだじろう 直野祥子
長尾文子 前田俊夫 金田一耕助シリーズ以外の横溝作品

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