|   | 金田一耕助図書館2F贋作の考察
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| パロディ・パスティシュ中での金田一耕助の活躍時期をリストにしてみました。 これから金田一耕助の贋作を書いてみようと思われている方、ぜひ参考にしてみてください。
 
 大別して、デビュー以前や失踪後の空白時期に材を採った事件と、「幽霊座」や「本陣殺人事件」など、原作の事件の前後日譚や続編、そして原作で触れられている語られざる事件の三種類が、比較的多く書かれているようです。
 
 デビュー作の「本陣殺人事件」以前や、「病院坂の首縊りの家」解決後、行方不明になってからの事件が多いのは、活躍時期の年譜がシャーロック・ホームズほど一般に浸透しておらず、まだまだ掴みどころがないからかもしれません。
 
 考えてみれば、大学を中退して渡米した時期、出征した時期、失意のうちに北海道を彷徨った時期(女怪)、大森の松月から緑ヶ丘荘に引っ越した時期など、金田一耕助の生涯を語る上でキーポイントとなる時期がすべて曖昧なままです。
 そこで作家さんたちは頭を絞って、すでにある事件にエピソードを追加する形や、事件簿に束縛されない空白時期の物語を選択するようになるというわけです。
 
 そうやって苦労して書いたにもかかわらず、記述に少しでも過った部分が見つかると、意地悪なサイトがちくちくと嫌味なレビューを書き散らすという状況では、作家の方たちもやりづらいというもの。以後、気をつけます(笑)
 
 ホームズ・パスティシュではおなじみとなった、実在の人物や他の小説・映画の登場人物などと共演させるお遊びも増えてきました。
 先達のシャーロック・ホームズはドラキュラ伯爵や火星人と戦い、ジキル博士の奇行を推理し、怪盗ルパンにしてやられ、切り裂きジャック事件の捜査に乗りだし、ハリー・フーディニ、ルイス・キャロル、夏目漱石に西太后などとも面識があります。
 
 我らが金田一耕助にも、いまだ書かれざる事件の記録がたくさん眠っているはず。
 それらの事件がいつの日か、新たな語り手によって語られることを、期待しましょう。
 
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| 作 品 名 | 主な共演者 | 著 者 | 時代設定 | 金田一耕助 |  
|  |  | 辻真先 | 昭和7年5月 | 私大時代 |  
| 《ホテル・ミカド》の殺人 | サム・スペード チャーリー張
 | 芦辺拓 | 昭和8年 | 渡米時代 |  
| 桑港の幻 |  | 琴代智 | 昭和8年12月 |  
| 僧正の積木唄 | ファイロ・ヴァンス 久保銀造 他多数
 | 山田正紀 | 昭和10年10月 |  
| 稲妻座歌舞伎役者失踪事件(幽霊座) | 昭和11年8月 | 探偵開業時代 |  
| 萩狂乱 | 風間俊六 | 斎藤澪 | 昭和11年10月 |  
| 髑髏指南 | 小金井良精夫妻 金田一京助
 | 服部まゆみ | 昭和12年4月 |  
| 明智小五郎対金田一耕助 | 明智小五郎 | 芦辺拓 | 昭和12年11月 |  
| 本陣殺人事件 | 昭和12年11月 |  
|  |  | 藤村耕造 | 昭和13年12月 |  
| GEN源氏物語秘録 | 角川源義 | 井沢元彦 | 昭和16年 | 出征・兵役時代 |  
| 生きていた死者 |  | 姉小路祐 | 昭和21年10月 | 復員・探偵再開 |  
| 獄門島 | 昭和21年10月 |  
| 探偵 | 京極堂 榎木津礼二郎
 | やまい | 昭和24年秋 | 松月時代 |  
| 犬神家の一族 | 昭和24年10月 |  
| 幽霊座 | 昭和27年8月 |  
| 湖泥 | 昭和27年10月 |  
| 湖泥 解決篇 |  | 飯沢匡 花森安治
 横山隆一
 | 昭和27年10月 |  
| 愛の遠近法的倒錯 | 久保銀造 磯川警部
 | 小川勝己 | 昭和27年10月 |  
| 病院横町の首縊りの家 解決篇 |  | 岡田鯱彦 岡村雄輔
 | 昭和28年 |  
| 仮面舞踏会 | 昭和35年8月 | 緑ヶ丘荘時代 |  
| 笑う生首 | 日比野警部補 | 亜木冬彦 | 昭和36年夏 |  
| 松竹梅 | 等々力警部 | 服部まゆみ | 昭和44年4月 |  
| 病院坂の首縊りの家 第2部 | 昭和48年4月 |  
| 金田一耕助最後の事件 | 了沢 | 柴田よしき | 昭和48年夏 |  
| 私が暴いた殺人 |  | 羽場博行 | 石油ショックの頃 | 失踪後の事件 |  
| 金田一もどき |  | 都筑道夫 | 昭和52年頃 |  
| 本人殺人事件 | 等々力警部 | 霞流一 | 昭和55年2月 |  
| 犬猫先生と金田一探偵 | 犬猫先生 等々力栄志警部
 | 斎藤栄 | 昭和62年頃 |  
| 銀河鉄道の惨劇 | 朝比奈耕作 | 吉村達也 | 平成6年5月 |  
| 黒猫キネマ |  | 井上雅彦 | 平成7年頃 |  
| 金田一耕助帰国す |  | 五十嵐均 | 平成7年 |  
| 月光座 | 伊集院大介 | 栗本薫 | 平成14年2月 |  
| 鳥辺野の午後 |  | 柴田よしき | 平成14年5月25日 |  
| 闇夜にカラスが散歩する |  | 赤川次郎 | 平成14年頃 |  | 
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