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みんなのドラマレビュー!
金曜エンタテイメント10周年記念「八つ墓村」

 
 前作「犬神家の一族」で好評を博した稲垣金田一が還ってきました!
 稲垣金田一第2の事件は、ご存じ「八つ墓村」です。
 
 レビュー掲載をご希望の方は、木魚庵までメールでお願いいたします。
 このコーナーに関しては、対象のドラマ、及び原作についてのネタばれを解禁します。同じ原作でも映画や他のドラマなどについては、未見の方もいますのでネタばれはご遠慮ください。
 絶讃だけでなく、批判・批評OKです。ただし誹謗中傷は当方でチェックします。
 
 
エンターティメント金田一
azuma
 
今回も映像が綺麗でした。
古い作品の(言ってしまえば)チャチさも
それが味であり逆に横溝ワールドのオドロオドロしさを感じて良いのですが
映像機能が上がっている以上は、堪能したいですからね。

稲垣さんの演技については
自分は演じる者では無いので
人に向かって下手とか絶望的とか尊大なことは言えませんが
受ける印象としては、やはり仕草がオーバーでしたね。
絵的にも一寸格好良すぎて、まだ慣れないです。
星監督の映像自体は好きなのですが
コミカルな演出部分は好き嫌いが出そうですね。
(創作アメリカ編とか・笑)
稲垣さん自体は役者としては下手では無いし
歳の割にムードがある方だと思うのですが
アクティブになった途端、わざとらしさが目立ちますね。
星さんの演出だとそれが余計気になるような…。

偉そうに言って申し訳ないのですが
フジテレビ+星監督の作品ということで
エンターティメントと割り切ってしまえば、とても楽しめたので
総合的には、この布陣もまぁまぁかなと思います。
暫くはフジはこの面子で続けるようですから
マイナー作品も見てみたいと思いました。
 

「八つ墓村」レビュー
kan
 
今さらですが。
今年は古谷御大以外の作品がなさそうなので。
映像化の肝だといえる落ち武者殺し、多治見要蔵狂乱をダイジェストでサクサク処理し現在の物語だけで勝負しようというスタッフの意気込みは買いたい。
辰也は今回が随一の美しさで文句なし。
 

八つ墓村雑感
日和警部
 
だいぶ遅くなりましたが、昨日録画してあったビデオを見たのでその感想を前回同様○×方式で書いてみたいと思います。

○ 映像全体を覆っているおどろおどろしさというか重っ苦しさ。
  またひとつひとつのシーンが丁寧に作られているような感じ。
  音楽もシンセサイザーや打ち込みを多用したものではなく、生楽器を効果的に使い良質であること。
  前回よりも減った金田一氏のフケの量。
  作者と金田一氏の関係を前回同様ちゃんと紹介していること。

× 前回同様の稲垣氏の絶望的な演技力。スマスマくらいでは問題にならないけれどこうも周りが演技はばかりだと・・・

個人的には×な点もあれど、これだけ丁寧に横溝作品を映像化してくれているフジテレビ様にはもう感謝感謝の一言です。

結論 ○(100点)― ×(10点)=90点ってところでしょうか。
 

八つ墓村
古橋啓一
 
やっと録画してあった物見ました。
良く出来ていたと思います。
渥美清さんの映画もそうでしたが、今回も前半の八つ墓村の説明と32人村人殺人事件の部分は面白いんです。前の映画の時も『祟りじゃぁ〜!!』って流行ったんですから。
でも、後半腰砕けなんですよね。映画は結局後半オカルト映画のようになってしまったし、古谷金田一版も悲しい最後なんですよね。
今回あそこまで原作に近い形でまとめられるならちゃんと典子を出して原作のあのハッピーエンドにして欲しかった。
あのハッピーエンドがあるから僕なんかあの小説好きなんです。

しかし、あの原作って映像にしてみたいと思う題材なんですかね?
原作は面白いです、でも、原作でも金田一さん、そんなに活躍らしい活躍もしてないしな。
なんだかなぁ〜??

りょうさんは・・・・?でしたね。僕の中での原作のイメージは、中島さんと言ったかな、渡る世間に出てるあの太った女優さん、あんな器量は悪いけどやさしい感じの女優さんなんだけど。

相変わらず笑う場面は無いんですね。お笑い芸人使って笑うのではなく・・・
演技の上手さから来る笑い・・・言っている事判りますかね?!・・・欲しいです。

とっちらかった感想で申し訳ないです。

本陣殺人事件やって欲しいな。大道具さん作りがいあるでしょう。あのトリック!
 

私の感想
 
八つ墓村。ちょうど忙しい時間でしたけれど、仕事しながら楽しんで見ることが出来ました。
ながらで見ると肩の力が抜けて素直に楽しめるんですね。
最初の「32人殺し」の説明も、仕事しながらの耳にはとてもよくわかりやすかったです。

女優好きの私としては、今回の配役は、番宣の時からなかなかいいなあ〜と、思っていました。
若村さんは何をやらせてもそつなくこなす女優さんなんですが、最近ちょっと目つきが、「いい感じ」で狂気を含んできたような気がして、美也子役、イイ味出していましたね。
惜しいのは「りょう」さん。
髪形が不味かったですね。あれでは、遊郭のやり手女将のようです(^^;)
そして立ち居振る舞いが、ちょーっとベタついてて、演出もっと考えて〜って思いました。
江波、絵沢両ベテラン、よかったですね〜!!
怖いもん!あの江波さんっ!

あと私がとてもおもしろいなあ〜と思ったのは、洞窟内を俯瞰で捕らえてた場面です。とても綺麗で、こわかった場面です。
洞窟を意識できたといいますか。
今回はすごく洞窟である。っていうことがよくわかる場面が多く、なんとなく画面に奥行きがあったように思います。

前回の「犬神家の一族」は、ちょっと厳しく見すぎたかな〜つて思いました。
好きな作品なので思い入れが強すぎたかも知れません。
「八つ墓村」は私の中の横溝作品のベスト10では7・8あたりなので(^^;)
甘いのかも。

次回は「女王蜂」が見てみたいな〜。
 

「八つ墓村」レビュー
けん
 
このシリーズの前作「犬神家の一族」同様絵の特殊効果が効いていてとても楽しく見ることができました。
私は小学校時分からTBS「横溝正史シリーズ」を見ており、アホウドリのような習慣からか、古谷金田一を最高としております。しかしどことなく頼りなげな線から見て、稲垣金田一も悪くないと思います。
実は一番気に入っているのは「小日向横溝」です。なんとなく私の考える横溝先生のイメージとはまっていて、このシリーズ最高のキャストだと思います。
続編も楽しみにしています。
 

緊張感が持続した142分でした
スティロウ
 
1日の『八つ墓村』、藤原竜也さんの辰弥の演技に感動しました。
中山忍さんの母鶴子のことばを思い出し確かめる場面は、心にジーンときました。
「母の心や父のことを知りたい」という、辰弥にとって、感情の根源からこみあげてくる気持ちを、見事に示してくれた演技だったと思います。
皆様ご指摘の通り、「典子が出ていてくれたらなあ!」という思いを実感しました。
 

ドラマ 『稲垣版 【八つ墓村】』
kizz_army
 
おぉ〜〜〜!!がんばった!!
よくやった!!うん、うんかなり良かったぞ!!(^^)

ここ数年の金田一物では、最高と言っていい位のレベルだったぞ!
稲垣君を除けばね…って、それじゃダメじゃん!(^^;
しかしまぁ弱ったねぇぇ〜
この金田一微妙です…(^^;

それはさておき、前作の「犬神家の一族」とは比べ物にならない位作りこまれてましたねぇ〜〜
なんと言っても、良かったのが「キャスト」… これは配役発表の記事を見たときから、ある程度は期待していたのですが、その期待を明らかに凌駕する内容でした。

・藤原竜也(辰弥)
いいじゃないっすか!最初に見たのは日テレのドラマ… ちょっと可哀想な少年を演じていたのですが、かなり印象深かった!
幸い「新撰組」は見てないので、ほとんど違和感なかったすね。
辰弥の境遇をうまく演じたじゃないっすか!

・りょう(春代)
これまたはまってたっすねぇ
病弱な感じ…、しきたり重視の旧家で育った女性の雰囲気…辰弥への思い…いい感じです。
映画版での松尾嘉代さんがBestだったんですが、りょうもかなり高得点!

・吹越満(要蔵)
この人なんでも出来るのね。(^^;
最初のうちは、すっとぼけた様な役が最高かと思ってましたが、なんとも「怪演」って言葉がしっくり来る存在になってきましたよね。
だから、キャストを初めて見た時もなかなかいいんじゃない? と思っていたわけです。
若干、イメージと言うかルックス的な所では「恐怖」に結びつきにくいですが、そこはそれ、演技力でカバーしてますがな!

・若村麻由美(美也子)
これまた、最高!!
髪型といい、口紅の色といい、口紅の塗り方といい…(^^;
喋り方といい、立ち居振る舞いといい… まぁ、イメージぴったし!!

久野医師、濃茶の尼、鶴子の中山忍もよかったぞ!

その分、金田一と橘署長がイマイチかなぁ〜〜
橘署長は役者さんの問題じゃなくて、キャラがたってないっす!
どうも、映画版の署長さんを捨て切れてないというか…
もちょっとオリジナリティがあってもいいかな…と思うんですね。

金田一さんは…
なんかね。全体的には「犬神家の一族」で多少なれちゃったせいか、彼でもOKなんですが、どうもセリフ回しとか、大袈裟な部分とかが不自然なんですよ(−−;
あぁいうキャラを監督が希望したのかなぁ?
どっちにしてもあぁいう風にしか出来ないのかなぁ?
配役代えるって訳にはいかないだろうから、もちょっとがんばっちくり(^^;

そうそう、小日向文世(横溝正史)さんもいいよね。
これが加わっているのが、前作にも増して作品としてのまとまりが出てるような気がするよねぇ〜

次に驚いたのが、「景色」!
空の感じ…CGなんだろうけどいい雰囲気だしてましたよ!
また、いい感じの村を見つけてくるよねぇ〜
残念ながら、期待していた鍾乳洞は「セット」だったようですが、その分好きなように作れるからね。良しとしますか?(^^)
映画として、大画面で見ても見ごたえのある「景色」だと思いました。

それに付随しますが、「カメラワーク」の妙技をみせて頂いた!
ツウな映画ファンの方なんかにしてみると、結構使い古されたテクニックなのかもしれませんが、場面の切り替え、同じ場面での視点切り替えがとぉ〜〜っても、効果満点!!うまい!
とぉ〜〜っても、ドキドキする作りになっておったのぉ〜〜

その中でも結構目に付いたのが、画面の奥でなにか行われているその手前、カメラのすごく近くに金田一とかが写りこんでいて、しばらくしてから、その奥側の出来事に絡んでいくといった、奥行きを使った画面… これはおもしろい感じでしたね。妙に印象に残った…

更に特筆すべきは、音楽!!サウンドトラックっすね!
「八つ墓村」の音楽と言ったら、もう渥美版で音楽を担当した芥川也寸志さんに尽きると思っておりました(^^)
芥川さんと言えば、この他にも「八甲田山」や「鬼畜」の音楽を担当してまして、なんか系統がわかるような気がしません?
「八つ墓村」の壮大な景色とマッチしたメインテーマ。
そして、特に印象に残るのは要蔵が32人殺しの場面で流れる曲…あれは、まさに秀逸!!恐怖を数倍に膨らませます!

が!今回のTVドラマのサウンドトラックも良く出来ていた!
件(くだん)の要蔵の場面で使われた曲も芥川版に負けず劣らず、恐怖を盛り上げる、いい仕上がりになってたと思いました。(^^)
残念ながら、今調べた限りでは音楽担当の方の名前は発見できず… エンドロールで確認しなきゃだめだな…

とまぁ、つらつらと書きましても、かなりこだわりが顕著に表面化している作品だと思われるんですねぇ〜〜どうっすか?
たぶん「犬神家の一族」とそんなにスタッフは変ってないと思われるのにこれだけの差がでちゃうのも不思議なもんですな… 前作はちと空回りしちゃったのかな?(^^;なんてね…

久々の市川崑監督作品だという事で、すげぇ〜〜〜期待したトヨエツ版よりは世界にのめりこんで鑑賞する事が出来たと思う次第であります。
ちょっと原作と違う部分も、うまくまとめていいカラーになってると思うしねぇ〜
欲を言うと…
この「八つ墓村」って「鍾乳洞冒険モノ」的な側面もあるんですよ
主人公と一緒になって鍾乳洞を探検していくスリルがドキドキでいいんですよねぇ
その部分がちょっと弱かったのが残念といえば残念…
でも、あの流れの中で、そんなモンまで入れる時間はまったくないもんね。
しょうがないやね(^^;
前後編二時間ずつ…ってのは無理っすよね(^^;

次回は「悪魔の手毬唄」で…
ってな希望をチラホラ見かけますが、他のものにしてくれぇ〜〜
石坂版の雰囲気を壊したくないっす(^^;
マニアックに「仮面舞踏会」なんてのはいかがでしょうねぇ?
わたくし、ストーリー忘れてることですし…(^^;
 

ビデオで見つつ・・・・
阿祐果
 
稲垣金田一さんの登場シーンって、やっぱり蝙蝠を意識してたんでしょうか?<かなりマニアな突っ込み?

それにしても、小日向横溝先生が「耕さん」と呼ぶのって、らしくって、なかなかいいですね。
で、小日向横溝先生の登場に拘るならば、次回作はやはり、「女怪」でしょうか?
 

八つ墓村レビュー
シスベリー
 
前回に引き続き、楽しく(嫌気が差さず)見ることができました。
何もかも原作どおりにするには、時間が短すぎるのだけど、こんなにも原作に沿った八つ墓村は初めてで、本当に楽しかったです。
典子ちゃん不在や、少々いやらしいカンジのする春代さん、存在感の薄い慎太郎、あまり怖くない要蔵など、登場人物の「うーん、どうだろう?」感は皆さんと大体同じです。
前回わたしのお気に入りになった横溝先生は、今回もよかったです。どろどろドラマをほのぼのとあたたかくしてくれますね。
金田一耕助はまだ「うーん、どうだろう?」です。
鶴太郎や上川金田一もわたしのイメージと違うのですが、シリーズを追う毎に、ま、こんな金田一耕助もいいかな?と思えるようになったのですが、吾郎ちゃんのは前より受け入れられなかったです。
なんだか不謹慎でケロッとしてて、原作の金田一耕助も複雑な事件に興奮するとこがあるので、吾郎ちゃんもおもしろがるのはいいんだけど、人が死んでるんだから、もう少し神妙さがあってもいいんじゃないかなぁ。
昨今言われる、人の痛みを知ることができない今どきの若者、ってカンジがして・・・。
それでも次回が楽しみです。悪魔の手毬唄?獄門島?
 

「八つ墓村」レビュー
ma
 
今回一番評価したいのは、八つ墓村の中で唯一本格ミステリーとして成立している場面をきちんと映像化していたことです。
それは、あの濃茶の尼がなぜ殺される必要があったのかという場面です。
今までの映像化では、その部分がカットされていたので今回は嬉しかったですねぇ。
・・・・というより、あのシークエンスをカットしてしまうと八つ墓村は本格ミステリーではなくなってしまうってこと、今まで映像化した監督はわかってたんですかねぇ。
あそこは犯人を絞り込む手がかりの部分でもあるし、エラリー・クイーン的に論理的な謎の解決を楽しめる部分なんだから、最もカットしてはいけない部分なんですよ、ミステリーファンとしては。
クイーンのエジプト十字架でいえば、なんでラベルのない瓶なのに、ヨードチンキを使わなかったのかっていう、あれですよ。
犬神家の一族でも、第2の殺人の手にキズがあるのに、ロープがきっちり結ばれてるのはなぜかっていう、今までの映像化で無視されてたけど、ミステリーファンには一番おもしろい部分が忠実に映像化されていて、本当にすばらしい。
稲垣シリーズの制作者の中に、かなりのミステリー通がいると見た。
 

ちょっと感想をば・・・
アレックス
 
稲垣金田一も2作目ということで、作り手のコンセプトがある程度見えてきたようですね。
小日向さん演じる横溝先生と金田一とのやり取りをドラマの最初と最後に持ってくるということで、「原作重視」と「横溝先生への敬愛」の姿勢が伝わってきました。
フジテレビの稲垣金田一はエンターテイメントに徹しようという姿勢もうかがえます。
たとえば以前放送されていた陣内孝則の乱歩シリーズやショムニのようなドラマとエンディングが共通しているようです。こうしたコンセプトで一本筋を通そうとしている試みは今のところ成功しているようですので、私自身は、昨日の八つ墓村を見て、怖くはなかったけど不快感は感じませんでした。
何度もいうようですがドラマのコンセプトが明快というのは重要です。
TBSは「何がしたいのか」「どこへ行きたいのか」というコンセプトが私には見えません。
松竹映画は賛否ありますが、松竹なりのコンセプトで観客を恐怖に陥れることには成功していて、怖さではやはり松竹に軍配があがりますが、稲垣版は最後の犯人の様子がほぼ原作どおりで原作の映像化という点で評価できます。
江波杏子さん絵沢萌子さん島かおりさん、好演でした。

関係ない話ですが、藤原さんも稲垣さんも「爪を噛む」癖があるようですね。
 

良い出来だったと思います
noburin
 
稲垣「八つ墓村」、良い出来だったと思います。
首を傾げたくなる場所もあることはありましたが、原作を壊すことなく上手くまとめていたのではないでしょうか。
私が一番評価したいのは金田一と犯人の対決シーンですね。
今までの映像化では、犯人が辰弥を殺そうとするシーンで説明されていたことが多かったですよね。
今回は原作で金田一が語った犯人との対決を映像として観せてくれました。これは嬉しいことでした。
八つ墓村の由来も単に映像とナレーションで説明するのではなく工夫があって楽しめました。
出演者達も実力者がそろっていて安心して観ることができましたしね。
あの悪名高いシリーズと同じ局とは思えないくらいです(笑)
欲を言えば・・・
慎太郎と美也子の関係が説明不足だったこと。
そして、これが一番の不満なのですが、今回も典子が登場しなかった事!
本来はヒロイン的役回りなのに、いつも削られてしまう典子。
個性的な登場人物が多い作品ならではの悲劇でしょうか・・・
今回のドラマはかなり原作に近い内容だっただけに、残念です。

これからも稲垣=金田一のシリーズは製作されると思いますが、前回や今回のように原作に真摯に向き合ったドラマ造りを期待したいと思います。
 

「八つ墓村」レビュー
友成ゆきみ
 
いやいや、面白かったですね。

藤原竜也はイマドキの美形で可愛くて、かつて、荻島真一やショーケンが演じた「辰弥」役だとはじめに聞いたとき、「え〜?イメージ違う〜。」とか思ったんですが、さすがに、舞台で鍛えているだけあって、しっかりした演技をしていたと思いました。

それに、何故か稲垣金田一に出る人は、やたら目を剥くようです。
何度藤原竜也の目が落ちるかと思ったことか、クライマックスの、ファーストクィーン状態(知ってる人は筋金入りのゲーマーです。)で、まるで、要蔵が増殖したかのように、ワラワラと押し寄せる暴徒たちには恐怖と言うより爆笑してしまいました。

森美也子と金田一の対決場面は「病院坂の首縊りの家」での弥生との対決を思わせるシチュエーションだったし、落ち武者の幽霊(?)が辰弥を救ったことは、ほかの映像作品より理由付けがしっかりしていて、直後に黄金が・・・って言うのも良かった。
物語自体が長いので、完全に忠実に・・・というのは無理な注文ですが、ツボは押さえていましたね。

「犬神家〜」より、キャストがお飾りにはならなかったようですが、里村慎太郎が無口すぎたことは残念。

金田一が「犬神家」の本を持っている、って予想、当たったね。(笑)

突っ込むとすれば、春代が辰弥に対しての態度が露骨に見え、男に飢えてるって感じを受け、チョイ不快だった。
あと、ここまでやるなら「典子を出せ!」これに尽きる。
最近の映像化作品としては、高い評価に値すると思います。
 

「八つ墓村」レビュー
阿修羅Jr
 
手堅くまとめられ、見応えのある作品だったと思います。

星監督の演出は「犬神家」より快調だったのではないでしょうか。
プロローグ&エピローグの横溝先生、署長に本を献上する金田一、不謹慎発言する金田一などシリーズものとしての魅力に、八つの落武者生首、障子越しの懐中電灯をつけた鬼、警告文の貼られたワラ人形、俯瞰で捉えた鍾乳洞逃走といった、“けれん”ある端的に作品世界を現したビジュアルなど、楽しく見ることができました。
前作は低調だった音楽面も、今作では重要シーンやラストに使用された鶴子の唄う「埋蔵金の歌」が効果を上げてたように思います。

しかし、いくら「原作どおり」がウリといっても、原作はあの大長編。
約2時間の尺ではさすがに苦心が見えました。

「第一の殺人」が金田一の口述、「八つ墓村へ」といったシークエンスが金田一視点で進んでいましたが、物語展開を考えると口述では弱く、やはりこのシークエンスは辰也視点だったほうが良いように思いました。
この冒頭で語られる「32人殺し」も、(「落武者惨殺」はともかく)辰也視点で聞いてこそ、という感じがします。
導入では辰也の恐怖、葛藤という心理が、ややおざなりになっていた気がします。
また、中盤あたりから、物語の進行視点が辰也になっていきましたが、このバトンタッチもうまく見えてきませんでした。

キャラクターでは、今作でもワリを食った里村兄妹や英泉など。
辰也役が美形俳優・藤原竜也だっただけに、典子とのラブロマンスは絵になった気もしますが……これも尺を考えると省略されるのは仕方がないところでしょう。
せっかく永澤俊矢を使いながら慎太郎になんの見せ場もなかったのは何とかならなかったのかなぁ、と思いますが。せめてラストに一言くらいは……。

しかし、重要なのは原作の人物を全員出すことでも、原作の要素を無理くり詰めることでもないと考えると、少なくとも上記の省略は、この作品を破綻させるものではなかったと思います。
冒頭の口述も「好例シーン」として、テンポ良く描いていましたし、東宝版の“豊川見せ”のための「やっつけ感」までの悪印象ではありませんでした。
また、「落武者惨殺」「32人殺し」といった見せ場を冒頭で一気に紹介したのも、ここで背景説明に徹し、後の物語をミステリーに集約させて進行させるためとも思えます。

「犬神家」で松子の前に登場した佐兵衛翁、今作の落武者の亡霊など、落としどころにオカルティズムを導入するのは個人的には疑問点もありますが、前回同様、原作の持ち味を遵守した丁寧な作りには感謝です。

また次の事件で会いたいですね、“耕さん”に。


あと、中日優勝おめでとうございます(ケッ)。
 

「八つ墓村」
ZAP
 
一言。「典子さえ出ていれば!」につきます。
ほぼ原作通りに進んでいましたし、変な拒絶感が湧きませんでした。

むしろ豊川版のヒドさがいっそう際だったというか何というか。

八つ墓村は、演じる役者によってずいぶん違う映像になることも改めて確認。
 

(C) 2004 NISHIGUCHI AKIHIRO