Kindaichi Kousuke MUSEUM

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│ 
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│ 
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昔、バラエティという雑誌があった
 
 角川映画華やかなりし昭和50年代、クロスオーバー・マガジンと銘打った雑誌が、角川書店より刊行されていました。雑誌の名は「バラエティ」。
 いわゆるヤング向けの雑誌らしく、映画を中心に音楽、小説、コミックなどの情報がてんこ盛りで、まさにバラエティにとんだ雑誌でした。
「バラエティ」昭和56年11月号

 一方、バラエティは角川商法の一端を担うPR誌でもあったので、角川映画の特集記事は、それは充実していました。薬師丸ひろ子ブームの頃は、毎号のように彼女のピンナップがついており、僕などはそれを目当てに購読していたものです。

 さて、バラエティが発行されていた昭和50年代は、いわゆる横溝ブームの真っ最中。そのブームを仕掛けたのは角川書店ですから、当然バラエティでも金田一耕助は人気者。さまざまな形で採り上げられ、記事にされています。

 たとえば、創刊号の昭和52年10月号では、
架空座談会「ペーパームーン招待席」に《角川春樹事務所所属探偵》の肩書きでゲスト出演、ドラキュラ伯爵、フランケンシュタイン・モンスターを相手に、ホラー映画について楽しげにお喋りしています。(執筆は筈見有弘)

 角川映画の特集号としては、以下のとおり。

 「悪魔が来りて笛を吹く」昭和54年2月号
 「金田一耕助の冒険」昭和54年7・8月号
 「悪霊島・蔵の中」昭和56年11月号 (横溝正史寄稿あり)

 「悪魔が来りて〜」公開前後には、金田一役の西田敏行の人気も手伝って、彼の演じる金田一さんが、古今東西の名探偵や歴代金田一役者を紹介する
「西田敏行わんまんしょう・西やんの金田一耕助探偵事務所」というコーナーまで連載されていました。(昭和54年1〜5月号、執筆は瀬戸川猛資他)

 また、映画「金田一耕助の冒険」では、田中邦衛演ずる等々力警部が、事件発生で群がる記者の中に馴染みの顔が見えず、「今日バラエティはどしたの、バラエティは?」「今日は、『蘇る金狼』の方に行ってますよ」という会話をしています。同じ角川だからできた、楽屋オチのひとつですね。

 横溝正史ご本人も登場されています。
 昭和53年5月号では、名探偵特集に特別寄稿として
「金田一耕助のために慟哭す」というエッセイを発表しています。(単行本未収録)
 昭和53年7月号では、連載コーナー
「中島梓のサインくれなきゃ帰らない!」にて、孫にせがまれて昔話をしているような、あたたかい対談を行なっています。
「バラエティ」昭和57年4月号

 そして、横溝氏逝去の際には、映画雑誌としては異例の
「横溝正史追悼特集」(昭和57年4月号)まで行なっています。

 バラエティはその後、角川映画の動向に殉じて、アイドル雑誌へと大幅な路線変更を行なった挙げ句、さびしく休刊していきましたが、最盛期の妙な活気に満ちあふれた誌面が、今でも懐かしく思い起こされます。

 以上、まとまりに欠けますが資料として報告いたします。


 余談ですが、この手の雑誌にありがちな星占いコーナーを担当していたのは、「シマダソウジ」という占星術師。後に『占星術殺人事件』で鮮烈なデビューを飾る島田荘司その人でありました。


※ 「バラエティ」は映画関連や雑誌を取り扱っている古書店にて、たまに売りに出ている場合があります。
 本来の定価は190〜390円でしたが、雑誌という希少性から、古書店では500〜1000円以内を購入の目安とされた方が良いでしょう。ただし、神保町近辺の古書店は、木魚庵が常時チェックしているので、お目当ての号は見つからないかも……!?
 

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